今回のわくわく音楽祭のショーは、これまでのショーと比べて異例でした。
これまでは、きちんとゲンキダーJショーとしての枠をもらっていて、
「これからゲンキダーJショーを始めます」というところから、
MCが出てお約束を話したりゲンキダーJの紹介をしたりして、
そして本編に入っていくのが通常でした。
しかし今回は、全体的なイベント進行に絡めて乱入する形になりました。
MCなしでいきなり悪い奴が会場に流れ込んでくるのです。
それも、事前告知なしのシークレットイベントとして!
さすがに音楽祭にそんなものなど予想だにしなかった子どもたち、その反応は戦々恐々としていました。
考えてみれば、事前告知なしでやるということは、
子どもたちが自分で考えてどうやってこのショーを見ればいいのかを判断しなければなりません。
出てくるヒーローや悪役について、何の前知識もなく、
突然現れたヒーローや悪役に、自分自身で考えて対処しなければなりません。
前に出ないでください、ヒーローを応援して下さい、
そういったお約束事は一切ないんです。
さて、その結果は…?
「前に出ないでください」。そんなこと言われなくても、誰ひとり出ていく輩はいませんでした。
「応援しましょう」。そんなこと言われなくても、MCの「さあ、応援よ」と煽る声が入る前に、自然と「がんばれー!」と声を出していました。
ショーを放映しているテレビをソファに座ってただ漫然と見るのではなく、
その場で自分で考えて行動していたということです。
つまりこのショーは、テレビや舞台の出来事ではなく、子どもたち自身に降ってわいた出来事、アクシデントなんです。
ヒーローショーという向こう側の世界と思われていたものが、気付いたら自分自身の世界の一部だった…。
そうなると能動的に動かなければ、世界は回りません。
さて、どうしよう。
危ないから前に出ないようにしよう、ピンチのヒーローを応援しよう。
…など、MCから言われたからそうするのではなく、自分自身で決めたから、そのように行動したのです
=能動的に動いたというわけです。
そうなれば、ショーが終わっての印象や感想も変わってくるはずです。
舞台の上でヒーローが戦っていたよ、格好良かったなぁ。MCのお姉さんが応援しようって言うから応援したんだ…
というショーを「見た」感想だけではなく、
ヒーローがね戦っていたんだよ。ピンチになったとき僕は思わず「がんばれ」って応援したんだ。だから立ち上がったんだ!
というようなショーと自分が密接に「絡んだ」感想が生まれてくるはずです。
ヒーローショーにおいて、子どもたちが観客と言う見せて貰う立場から、
自分という名の主人公、という行動する立場になることで、
その後の生活やごっこ遊びの中で、ヒーローショーを思い出した時、
ヒーローだけでなくあのとき自分の意志で選択して動いた自分自身にも目を向けるようになると思います。
そうすれば、ヒーローが恰好良かったから戦いごっこをしようで終わるのでなく、
ヒーローショーで自分は自分の判断でこんなことをやったんだという体験から、
実生活の中でも自分からしようというやる気や自信につながっていけばいいなと思うのです。
こういった能動的鑑賞方法になるようなショーを模索していくのも一つの手かな?と思ったのでした。